十人十色

色んな考え方、色んな生き方、仕事の仕方、人生全て。生まれてから死ぬまで様々な状況に人は晒される。天気のように晴れて穏やかな時間もあれば、雨が続いて出来たぬかるみで転ぶ事もある。良いときもあれば悪いときもある。

仕事で失敗した帰り道。やってしまったのは自分だけど、”あんなに怒らなくてもいいんじゃないか。俺じゃなくてもその内誰かがやってるよ”と言い訳しながら、コンビニで酒とツマミを買って帰宅。最近は値段が上がって晩酌も減っていたが、憂さ晴らししないと寝れそうにない。さっとシャワー浴びて髪乾かすのもそこそこにビールを飲み出す。

取りあえずのテレビを流しながら、ツマミの焼き鳥を食べる。この気持ちを何とか吐き出そうとSNSを開き、”会社 失敗”で検索。自分より最悪な失敗を見つけて、自分はまだマシだったと妙な安心感を得る。どれくらい経ったのか、買ってきた酒を飲み尽くす頃には酔いが回って、色々とどうでも良くなって寝ていた。

次の日二日酔いで出社すると、同僚から昨日の事について聞かれた。ありのままを話し、運が悪かったなと慰められたが、心のモヤは完全には晴れない。そのうち時間が解決してくれると、社会人になってからより強く思うようになっていた。いつもの仕事、いつもの時間。ただ目の前の業務をこなしていく毎日。代わり映えのない普通の日。

そんな普通の毎日に変化が起きたのは2日後。改善を図るという名目で社内で会議があった。参加者は俺の上司と総務課の課長。今回の内容と改善点を訴え、社内全体で改善していくという話になった。そして俺に対して申し訳無かったとの言葉があった。失敗したのは俺なのに、攻める事もなく話を聞いてくれた課長に戸惑って、”いえ、これからも頑張ります”という子どものような返答をしてしまった。

席に戻りながら、心が軽くなっていたのを感じる。上司からはもう迷惑はかけるなと釘を刺されたが、それすら慰めの言葉に感じるほど。時間が解決してくれると思っていたけれども、それよりも早く好転した気がする。ちょうど晴れ間が見えてきたから余計にそう感じる。

帰り道、3日前と同じコンビニで酒とツマミを買って帰宅。気分が違うと同じ酒でもより美味しく感じるのは不思議だ。心のモヤはもうない。酒を飲んで忘れるよりも、同僚に愚痴を聞いてもらうよりも、ただ話を聞いて欲しかっただけなんだと、ほろ酔いの頭で考えた。

あれから俺は考え方を少し変えた。変化というと大げさだが、相手の話を聞くことに集中するようになった。人が変われば同じものでも考える内容が違う。当たり前なんだけど、その当たり前を忘れないように、これからも普通の毎日を過ごしていきたいと思う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました